放射線グラフト重合技術は、放射線の高いエネルギーを活用して、合成繊維などの既に成型済みの高分子材料(以下基材と略称)に新たな機能をプラスできる技術です。
放射線グラフト重合技術のグラフト(graft)とは、園芸の「接ぎ木」の意味で、基材に放射線(電子線又はγ線)を照射することにより、基材の一部を切断して別の高分子が「接ぎ木」された樹木のような新たな高分子を合成する手法です。
放射線のエネルギーで高分子(図の場合ポリエチレン)の枝であるC-H共有結合を切断して、切り口(電子1個の状態、ラジカルという)をつくる。
放射線はエネルギーが高いため、基材の奥深くまで切り口を作る(ラジカル生成)ことができる。
高分子の材料となる小さな分子(反応性モノマー、切り口と反応しやすい部分を持っている)を、切り口と反応させて、枝状の構造にします(専門用語でラジカル重合という)。反応性モノマー分子に別の機能を持たせておくことで新たな機能をプラスできます。
このように放射線を使うことによって引き起こされる反応なので「放射線グラフト重合」(Radiation Induced Graft Polymerization)と呼びます。
荏原製作所と日本原子力研究開発機構(量子科学技術研究開発機構と改組)は、不織布などのシート形状の高分子成型品に、電子線を照射した後、反応性モノマーを決まった量含浸させることでグラフト重合反応できる「放射線グラフト重合の連続加工プロセス」を共同開発しました。当社はこの方法の実施許諾を受けて各種機能性材料の開発及び製造を行っています。
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No |
表 題 |
出 典 |
1 |
放射線グラフト重合によるイオン交換繊維(1)−カチオン交換繊維によるアンモニアガスの吸着 |
エバラ時報No.146(1990-1) |
2 |
放射線グラフト重合によるイオン交換繊維(2)−グラフト重合繊維の性能評価 |
エバラ時報No.150(1991-1) |
3 |
イオン交換不織布のイオン性ガス除去性能評価(第1報) |
エバラ時報No.173(1996-10) |
4 |
イオン交換不織布のイオン性ガス除去性能評価(第2報) |
エバラ時報No.180(1998-7) |
5 |
EPIX微量ガス除去フィルタ(第1報) |
エバラ時報No.181(1998-10) |
6 |
海水中からの有用金属回収技術に関する研究(第1報) |
エバラ時報No.176(1997-7) |
7 |
海水中からの有用金属回収技術に関する研究(第2報) |
エバラ時報No.184(1999-7) |
8 |
放射線グラフト重合技術(荏原総研のあゆみ) |
エバラ時報No.200(-) |
9 |
放射線グラフト重合法による機能性高分子材料の開発とその応用例 |
エバラ時報No.216(2007-7) |
10 |
Polyethylene glycol monomethylether acetate(PGMEA)の加水分解によるケミカルフィルタからの酢酸発生について |
第18回空気清浄協会とコンタミネーションコントロール研究大会平成12年4月20日21日 |